他業界へ転職を検討する場合、業界構造を理解しないまま、無知な状態で転職してしまい、
「こんなはずはなかったー!!」と後悔したくありませんよね。
IT業界の営業へ転職に向けて、業界構造を学んでいる際に、下記のように感じた方はいませんか?
- IT業界を、人によってブラック、ホワイトと両極端だけど、ぶっちゃけどっちなの?
- IT業界の中でもホワイトな職務環境で、スキルアップにつながる企業の探し方が知りたい!
IT業界の営業は、業界構造を理解した上で会社選びを行うことができれば、比較的ホワイトな業界・職種です。しかし、IT業界の中でも、業界内のポジションによって、ブラックかホワイトかに大きく分かれます。
結論、IT業界でホワイトかつ優位なポジションは、製品/サービス提供者と元請けのSIerです。
なぜかというと、一連の営業プロセスを経験することができ、工夫や努力の方向性によっては、いくらでも成果の最大化を見込めるためです。
一方、下請け企業の営業は、人売り(技術者の提供)に留まりやすく、スキルアップしていくことが非常に難しいのです。
私もこれまで、50社以上のSIerと共にお仕事をしてきました。
下請け(3次請け以下)のSIerになればなるほど、営業職の立場がなくなっていきます。
会社によっては、営業担当を配置する余力すらなく、技術者が自分で自分の営業を行っているシーンもよく見かけるほど・・・。
せっかくIT業界に転職するなら、安定した職場で充実した仕事をしながら、自身のスキルアップをしたいですよね?
そこで、本記事では『IT業界の構造と、製品/サービス提供者と元請けSIerの営業が充実した仕事ができる理由』をお伝えします。
【ステータス(略歴)】
独立系SIerに新卒で入社し3年間従事|大手SIerに転職後、業界の構造や顧客への振る舞い方などの経験を積む|ソフトウェア・パッケージ開発メーカーに転職するも2年間実績を出せず凹む|Giverの精神を忘れずスキルアップを図り、トップセールスへのし上がる|広報/直販営業/代理店営業を経験|新規サービスの営業企画リーダーを努め、日々邁進中
カナヘビブログも運営中
【熟練度(職務経験)】
直販営業の熟練度:
代理店営業の熟練度:
広報・プロモーションの熟練度:
商品企画の熟練度:
この記事を最後まで読むと、IT業界の構造の基本を理解することができ、業界で優位なポジションの企業探すためのノウハウが分かります。
- IT業界の専門用語がわからない方でも、業界構造が理解できる
- IT業界の中で、やりがいがあり、スキルアップにつながる営業ができる企業ポジション
それでは、本題に入っていきましょう。
IT業界の全体構造
IT業界は大きく5つに分類される
IT業界と一括りにいっても、対象としているお客様や、提供している商品/サービスが大きく異なります。
具体的には、IT業界は、大きく5つに分類することができます。
- ソフトウェア業
- ハードウェア業
- インターネット/Webサービス業
- 通信/プロバイダ業
- ITサービス業(SIer※システムインテグレーター)
各業界の定義や有名企業については、「IT業界 分類」でググればいくらでも良質な情報が出てきます。
ただし、IT業界に馴染みのない方の多くは、『ITサービス業(システムインテグレーター)』について、正直イメージしづらいのではないでしょうか?すこし、補足を入れておきましょう。
ITサービス業(SIer※システムインテグレーター)
ITサービス業は、発注企業が抱える問題・課題に対して、ITサービスを活用して解決策を提案・実行していく企業のことです。
- SIer(エスアイアー)
- 情報処理サービス業
とも表現・表記されることがあります。
ITサービス業は、製品/サービス提供者より必要なモノ・コトを仕入れ、ITサービスとして動作するよう組み合わせた上で、お客様へ提供します。
お客様の課題解決に最適なITサービスの提供に向けて、既製品では不足がある場合は、自社で保管(カスタマイズ)した上で納品することもあります。
IT業界のピラミッド構造
前述した5つの分類に属する企業で共通していえることは、『ITサービス』を通じてお客様へ価値を提供し、対価として収益を得ていることです。
それでは、収益源となる『ITサービス』を作り上げる過程では、どのようなお金の流れになっているかを見ていきましょう。
IT業界は、多重なピラミッド構造で成り立っています。
具体的には、下記の図解をご覧ください。
- 元請け企業は、発注企業から1,000万(1か月6名で構築できる規模のITサービス)の請負契約を実施
- 元請け企業は、技術者が4名不足しているため、1人月100万を条件に下請け企業から4名の技術者を調達
- 下請け企業は、技術者が2名不足しているため、1人月80万を条件に孫請け企業から2名の技術者を調達
※本当はもう少し複雑な構造になりますが、わかりやすいようにシンプルな図解例としています。
もちろん、収益は、
元請け企業 > 下請け企業 > 孫請け企業
と右にいけばいくほど低くなります。
元請け企業はオイシイところばかりを持っていっているってこと?
確かに収益源は元請け企業のほうが良いです。
しかし、別に元請け企業がオイシイところだけをとっているわけではないんですよ!
それでは、元請け企業・下請け企業で求められる役割や、営業方法について解説していきましょう。
元請け企業の役割
IT業界の中でも、上述した5つの分類によって、提案先顧客や営業方法が異なってきます。
一次請けのITサービス業(SIer)を例に挙げて解説しましょう。
元請け企業の役割は、なんといっても『お客様から発注をいただき、ITサービスを活用して価値を提供しきること』です。
- 発注企業から、「この会社にならシステム開発を任せて大丈夫!」と安心・信頼いただけるようなブランドイメージの設計や構築
- システム障害やプロジェクト遅延があった際の対策や、リスク回避施策の検討
ITサービスは、お客様(発注者)としては数千万~数十億という大規模な投資です。
- 名前も聞いたことが無い
- ホームページがない、もしくは煩雑な作りになっている
- 何を強みに事業を行っているかわからない
- お願いしたいITシステムについて、類似の構築事例がない
といった企業に対して、発注を行うでしょうか?
元請け企業のこれまでの努力・取り組み・実績の積み上げが評価され、お客様からITシステム構築の発注をいただけているわけです。
元請け企業が、ただただ美味しいポジションを総なめしているわけではないんだね!!
元請け企業の営業活動
元請け企業の営業活動は幅広いです。業界を超えても活用できるビジネススキルといっても過言ではありません。
元請け企業の営業活動の具体例をあげていきましょう。
- ターゲット顧客の選定
- 競合他社分析と優位性の確立
- 見込み顧客獲得に向けた各種プロモーションの企画・実行
- 見込み顧客の顕在/潜在ニーズ把握
- 自社ソリューションの優位性をアピールした提案
- 契約済み顧客のアップセル/クロスセル
- 既存顧客のニーズ調査と、新サービスの企画立案・実行
下請け企業の役割
元請け企業の役割は理解できました!
しかし、なぜ不足している技術者を下請け企業から調達しているの?
十分な技術者を抱えておけばよいのでは?
良い質問ですね。
それでは、下請け企業の役割を踏まえつつ、疑問を解消していきましょう!!
ITサービスという商材は、いわゆる受注生産型です。また、お客様より契約をいただけたITサービスごとに、構築にかかる期間、必要な技術者の数、必要なスキルが異なります。
毎年、同じ時期に、同じシステムの開発が安定的に契約が取れるのであれば良いのですが、
- 外部環境の影響(業界全体の不景気・IT投資の抑制など)
- 営業部門の成績不振
などで全く契約がとれない期間が存在します。
下記の図をご覧ください。
2019年度の後半から契約が取れていませんね。この期間、技術者はお仕事がありません。会社からすると、売上は生まず、固定費という存在になってしまいます。
要は、受注が好調な時期に合わせて技術者を自社で抱えてしまうと、受注が取れない時期の固定費が増え、会社の利益を圧迫してしまうのです。
ここで活躍するのが、下請け企業です。
元請け企業のニーズに合わせて、必要なスキルをもった技術者を提案することで、元請け企業は強固な技術者体制を敷いた提案をお客様へ行うことができます。
なるほど!!
契約数が、自社で抱えている技術者数より上振れして技術者が足りない時に、下請け企業の力を借りるわけですね。
その通り!元請け企業と下請け企業の連携により、お客様へ安定的にITサービスを提供することができるわけです!!
下請け企業の営業方法
下請け企業の営業は、自社で抱えている技術者を稼動させることが重要です。
自社の技術者の稼動状況や空き状況を把握した上で、元請け企業と密なコミュニケーションを取り、元請けに必要な技術者を提案していきます。
- 過去に取引のある元請け企業が必要としている技術者やスキルの把握
- 元請け企業の営業および技術者(プロジェクトマネージャーなど)との信頼関係の構築
- 新たな元請け企業の開拓活動
やりがい・スキルアップできる営業職
IT業界の構造や、営業の役割はわかったよ!
やりがいがあって、自身のスキルアップにつながる会社はどこなの?
できれば待遇がよい会社がいいな・・・。
待遇については、正直個人のキャリアやスキルによりけりですね。
営業職として、やりがいがあって、スキルアップが臨める企業ジャンルは、すばり下記3ジャンルでしょう!
1つずつ、解説していきましょう!
製品/サービス提供者の営業職
1つ目は、製品/サービス提供を行っている企業の営業職です。
上述したIT業界5分類の中で、ITサービス業を除いた4分類の企業の営業のことを指しています。
わかりやすいように、分類とイメージしやすい商品/サービスを表にしてしておきますね。
分類 | 具体的な商品/サービス |
---|---|
ソフトウェア業 | Windows、スマートフォンアプリ など |
ハードウェア業 | スマートフォン、パソコン など |
インターネット/Webサービス業 | Amazon、Google、楽天、WOWOW など |
通信/プロバイダ業 | NTT、ソフトバンク、KDDI、BIGLOBE など |
営業先が法人(代理店含む)か個人かは、商材の特性や営業戦略によって異なります。しかし、市場へ展開している商品やサービスを、自社で保有している点が共通点です。
工夫や努力の方向性次第では、いくらでも成果を最大化させることができます。結果は待遇(給与や役職)ややりがいにもつながりますし、他業界でも生かせるスキルを身につけることもできるでしょう。
元請け企業の営業職
2つ目は、ITサービス業における元請けの営業職です。
様々なソフトウェア・ハードウェアや通信インフラを組み合わせ、独自のソリューション(課題解決方法)を構築し、顧客へ価値提供する仕事です。
- 自社ソリューションを活用することで悩みが解決するターゲット顧客の選定
- ターゲット顧客に自社ソリューションを知ってもらうための、販路やプロモーションの工夫
- 自社ソリューションが競合製品よりも優れていることを提案するための営業戦術
など、マーケティングに必要とされる要素をすべて発揮できるのが元請け企業の営業職です。
なお、私はソフトウェアメーカーの営業として、元請けSIerの営業さんと一緒に営業活動をよく共にしています。彼ら・彼女らの瞳は常に情熱に満ちており、エネルギーやバイタリティーをもらっています。
なんだか難しそうだけど、他業種の営業としてやってきた経験やスキルが活用できそうだな!
下請け脱却に向けて取り組んでいる企業の営業職
最後にオススメするのは、『下請け脱却に取り組んでいる企業の営業職』です。
下請け脱却に取り組んでいる企業?どういうこと?
少し複雑ですが、非常に重要なことなので、補足をいれておきましょう!
本記事で、IT業界のピラミッド構造について説明しましたね。IT業のピラミッド構造をある程度理解できている方は、下へ読み進めてください。
IT業界で下請けポジションにい続けると、下記のようなビジネスリスクがあります。
- 今後も下請け体質では、元請けへの”人売り”のビジネスに留まってしまい、自社の強みに磨きをかけられない
- 下請けのままだと収益性が悪く、福利厚生の充実に踏み出すことができない
- せっかく育成した技術者も、より待遇のよい元請け企業へ転職してしまう
また、技術者不足や企業のIT投資抑制ニーズもあいまって、1社のお客様に対してオーダーメイドでITサービスを提供することが難しくなってきました。
そこで、これまで下請けだったITサービス事業者の中でも、特定のターゲット顧客を想定したITサービスを汎化(共通化)して、最終顧客(商品やサービスを実際に使う顧客)へ直接提供するというケースが増えています。
このように、下請けを脱却し、自社特有のサービス創出に踏みだしている企業は、元請け企業の営業と同じような仕事をすることができるでしょう。
元請けや元請け脱却に励んでいる企業であれば、営業としてもやりがいがありそうだし、仮に他の会社へ転職するときでも、スキルが活用できそうだな!!
まとめ よりスキルアップにつながるのは製品・サービス提供者や元請けSIerの営業
IT業界は元請け・下請けが連携しあうことで、顧客へITサービスを安定的に供給できています。
しかし、やりがいがありスキルアップにつながるのは、製品/サービス提供者や元請けSIerの営業に分があります。
- ターゲット顧客の選定
- ターゲット顧客へ有益な販路・販促施策の検討と実行
- ターゲット顧客への営業活動
など、営業職の醍醐味ともいえるプロセスを、一連で経験できるのですから。
一方、下請け企業の営業は、元請け企業の技術者不足をタイムリーに解消する仕事がメインとなります。
元請け企業の営業や技術者(プロジェクトマネージャーなど)との人対人のコミュニケーションが重要となりますが、正直スキルアップしやすい、とは言いづらい仕事です。
しかし、どのような仕事に価値を感じるかは人それぞれです。
IT業界の営業への転職を検討されている方は、どのポジションの営業をしてみたいか、本記事を参考に再検討してみましょう。
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